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help リーダーに追加 RSS 紡がれる蒼い唄 Misson10-2 魔晶石を奪え

<<   作成日時 : 2007/10/14 19:43   >>

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 「ナジ、大変だったな。その、こんなときに言うのもなんだが、とりあえず今の段階で冒険者を辞めることはできない」

 ナジは、その言葉に驚いた。冒険者登録の抹消は、まだ誰にも言っていない。
 「俺は、仮にもミスリル銃士隊に最年少で入隊したんだぜ?それぐらいの洞察力は持ち合わせているよ」
 ナジは、心を読まれたような気がした。しかし、だからと言って今更引き返すつもりもない。
 「ああ、辞めるなって言ってる訳じゃないんだ。ちょっと緊急事態でな。今、バストゥークでの行政的な活動はすべて凍結している。それくらい緊急事態なんだ。さあ、とりあえず会議にでてくれ。もしかしたら、大使が誘拐されたことに関係があるかもしれないんだ」
 ナジは、そう言って大統領府の会議室に、半ば無理やり押し込まれた。
 会議室は、まるで空気が張り詰めたかのような雰囲気だった。ナジが入っても、誰も見向きもしない。もしかしたら、入ってきたことにすら気がついていないのかもしれない。
 「いきなり大統領府の内部へと使い魔を送り込んできたと?」
 「はい、油断しておりました。まさか、そのようなことが可能とは……」
 「ルシウス補佐官からも魔法の力に対する防衛の甘さは指摘する報告があった。しかし、しかしだ。国の中枢に易々と忍び込まれるなど!ミスリル銃士隊は?黄金銃士隊は?これは我国の防衛概念を根底から覆すことだぞ!」
 怒鳴り散らしているのは銃士隊のフォルカー隊長だ。大きな体を、まるでタルタルのように縮こませているのは、ガルカのアイアンイーターである。
 一瞬の沈黙を突いて、大きな音を立てて扉が開いた。
 「お父様、お父様は!?」
 コーネリアである。父を探していた視線は、すぐに一人の人物にとまった。
 「シドおじさま、お父様の身に何か」
 「落ち着くんだ、コーネリア。取り乱したところで」
 「お父様は、まさか……」
 コーネリアの瞳は、すでに涙を溜めている。
 「珍しく帰って来たと思ったら今度は勝手に父親を殺すのか」
 カルストが、奥の執務室から現れた。少しやつれた感じはあるが、怪我をしているようには見えない。コーネリアが、たまりかねたように抱きついた。溜まっていた涙も、堰を切ったようにあふれ出した。
 「コーネリア、おまえが口を出す問題ではない。部屋に戻っていなさい。私は大丈夫だ」
 カルストは、そう言うとコーネリアを優しく引き離し、出口へと押しやった。
 カルストは、一息つくと、照れたように咳払いをした。ナジには、その姿が新鮮でもあった。カルストが見せる、唯一の弱み。いや、父としての強さだろうか。
 カルストは辺りを見回し、先ほどまでのぴりぴりとした雰囲気を引き戻した。重い口調でルシウスに言う。
 「状況を説明するように。できるだけ詳しく」
 ルシウスは、まとめた書類に目を落とした。
 「敵の使い魔は、魔法を使って執務室からプレジデントが使用している仮眠室に進入。プレジデントが起きていらっしゃったことも幸いして、かろうじて御怪我はありませんでしたが」
 ルシウスは、そこで言葉を切った。辺りを見回す。そして、重い口を開き、低い声で言った。
 「護符が……奪われました」
 まるで、部屋全体が凍りついたようだった。誰もがルシウスの言葉に絶句し、絶望していた。しかし、ナジには事の重大さがわからなかった。護符と言われても、ぴんとこない。
 「護符だと?闇の王を封印した……?」
 シドが、ようやく言葉を発した。その声は、まるで喉の奥ですり潰したようにしわがれている。ルシウスが続けた。
 「二十年前、工房長や隊長が参加した大戦の結果、闇の王は敗れ、北の地に封印されました。その後、三国で分割して保管していた。その護符が」
 カルストは、ため息交じりに言った。
 「誰の仕業かわからんのか。まあ、私に反感をもつ者が多いからな。しかし無能な大臣どもに、こんな作戦の実行力はなく、ガルカの反乱分子にこんな魔法を扱える訳がない」
 ルシウスが、カルストの意を汲んだように続ける。
 「当然他国からの報告にもあったように、闇の血族が闇の王の復活を狙ってのことでしょう」
 フォルカーが、焦れたように言った。
 「だとすると、北の地へ調査団を派遣した方が」
 「ミスリル銃士隊を動かして調査団を出すとなると議会にかける必要が出てくる。そんな暇はすでにない。だいたい間抜けな大臣どもに危機意識などない」
 カルストは、そう言うとナジの方を見た。しかし、周りの人間にはカルストの意思が伝わらなかったようで、目を点にしている。その表情をみたカルストが、怒鳴り声を上げる。
 「適任者はいるだろう!」
 「しかし、このような重大事を一介の冒険者に。隠密で我らが動くことはできないのですか」
 言ったのは、フォルカーである。放っておくと、そのまま北に向けて走り出しそうな雰囲気だ。それを見たルシウスが慌てて言った。
 「冒険者にミッションを与える。ナジウィー・ハイドライト、直ちに北に向けて進発せよ。クリスタルゲート(瞬間移動用の古代装置)、飛空挺、装備、その他必要なものはすべて揃えてよい。人選は君に一任する。極寒の地で、厳しい事態が予測されるが、国の存続にかかわる事態だ。万全を期して向かうように」





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